こんにちは、笑う背中です。
パナソニックのドラム式洗濯乾燥機 NA-VH320L で、乾燥中に「ガーーー」という異音が出て困っている方へ。前回はヒートポンプ内の排水ドレインポンプ(部品番号:AXW8C-8GU0:すでに廃版)をグリスアップして延命したのですが、約1年で再発しました。今回は分解・テスター測定・汎用モーターへの交換まで踏み込み、最終的には排水ホースの取り回し変更で実用状態に持ち込みました。結論だけ知りたい方は目次から「最終的な解決」へどうぞ。
※前回のグリスアップ記事はこちら → 排水ポンプのグリスアップ記事
「どのグリスを使うべきか」から始まった
再発した排水ポンプの異音に対して、最初に思いついたのは「グリスを別なものに変更したらどうだろう」と言うことでした。候補は手持ちにあるワコーズのハイマルチグリス(前回使用)、シリコングリス、ベルハンマースプレーなどです。
しかし耐水性などを調べていくうちに、この問いの前提そのものが揺らいでいきます。グリスの種類を選ぶ前に、そもそも異音の原因はそこなのか?
それを確かめないと、どのグリスを塗っても対症療法にしかならない。そこで今回は、原因の特定から始めることにしました。
状況の整理(症状・構造・確定している事実)

上記写真の丸い窓から水が入ります。黒い部分がマグネットカップリングで、それに繋がり下にある白い部品が回転して後側の出口から排水します。黒い部品も白い部品も水に浸かる前提です。
まず、この時点で確定していた事実を並べます。
- 排水ドレインポンプは AXW8C-8GU0(多田プラスチック工業製のDCマグネットポンプ、廃版)
- 構造は、モーター側の磁石とインペラ側の磁石が隔壁を挟んで非接触で回るマグネットカップリング式。磁石とインペラは凹凸で勘合し一体で回転する
- 異音は「ガーーー」という摩擦系の連続音。排水ポンプ動作中ずっと鳴る
- 前回、マグネットカップリング部のグリスアップで異音は消えた(約1年もった)
- ホースには水がきちんと送られていた(排水機能自体は生きていた)
ヒートポンプを取り外した際には、約20ccの水が毎回こぼれ、粘着質のヘドロがユニット内部にありました。
原因の推定(仮説)
分解とテストを重ねて、原因を推定していきました。以下は推定であり、断定ではありません。後述しますが、一部は後から「違ったかもしれない」と考え直しています。
グリスは種類より量だった
当初の「ハイマルチグリスかシリコンか」への、実験を経た答えです。
種類より量が問題でした。マグネットカップリングの吸着面にシリコングリスを多めに塗ると異音が出て(手で回してもかなりの抵抗)、除去して極少量にすると音が小さくなりました。厚塗りは①粘性抵抗を増やし、②磁石間ギャップを広げて連結トルクを落とす、の両面で不利です。「手で回してスッと軽い」が良いと思います。
種類については、この用途(低荷重・樹脂部品・少水量の水まわり)での整理はこうなりました。
| グリス | この用途での評価 |
|---|---|
| ハイマルチグリス | 効くが本来は高荷重ベアリング向け。 オーバースペック |
| シリコングリス | 樹脂・ゴムに安全で入手容易。 極少量ならアリ |
| フッ素(PFPE)グリス | 耐水・樹脂不活性・低抵抗で理屈上は最有力。 ただし高額なうえ未所持。 |
| LSベルハンマー | 金属高荷重向け。 樹脂への影響がメーカー保証外で水まわりは不向き。 |
| ラスペネ | 浸透潤滑剤なので残らない。最終潤滑には不向き。 |
ただし今回の結末を先に言うと、グリス選びは本筋ではありませんでした。
異音の音源はモーター周辺?

切り分けテストの結果はこうでした。
- モーター単体(マグネットなし)で回す → 静かに回る
- マグネットカップリングを組んで回す → 少し異音が出る
- 片方のマグネットを手で近づけ、モーター軸の磁石が吸い寄せられた時(上記写真) → 異音・振動が発生
これを見て、当時は「マグネットの吸引力がモーター軸受にかかった時に鳴る=モーターが音源」と判断しました。
モーター交換
モーターの特定:ミツミR-14=汎用370フレーム

「モーターが原因かもしれない」という推定のもと、交換用モーターを探すため、現物を調べました。

モーター缶の刻印:MITSUMI R-14 A342 2319A1E M23E-4

ミツミR-14 は家電等に使われた小型ブラシ付きDCモーターのようです。この型番は見つかりませんでした。そこで現物をノギスで実測しました。
| 項目 | 実測値 | 汎用370標準 |
|---|---|---|
| 缶の外径 | φ24.3mm | φ24.4mm |
| 缶の全長 | 31mm | 30.8mm |
| シャフト径 | φ2.0mm | φ2.0mm |
| シャフト突き出し | 8.5mm | 約10mm |
世界共通規格の「370モーター」フレームと寸法が一致。つまりR-14は汎用370と互換で、マブチモーター等の汎用品で代替できる可能性がある、と分かりました。

シャフトは丸軸で中身も抜けたので、移植もできそうです。
テスターでの電圧推定

供給電圧を確認するため、アナログテスターでモーター単体の巻線抵抗を測定しました。
手順のポイントは0Ω調整です。抵抗レンジ(×10)でテスト棒の先端どうしを接触させ、針が右端0Ωに来るようノブで調整してから測る。これをやらないと値がずれます(実際、調整前は誤った高い値が出ていました)。

- 0Ω調整後、静止状態でリード間 → 約10Ω
- 12V級小型DCモーターの巻線抵抗は十数Ωが典型(参考値)
- テスターの抵抗レンジのわずかな電力で軸が回り出すほど低電圧寄り
以上から「12V級と推定」しました。ただしこれも推定です。R-14には6V品も実在するため、元のモーターが6V級だった可能性は排除できていません。後述の「新モーターの力不足」には、この電圧推定のズレが絡んでいる可能性もあります。
交換モーターの選定と購入:ジョンソンRF-370CA-12560
「370フレーム・12V」で探すと、マブチの370クラスが寸法完全一致で、公式に採用実績「ポンプ」とある適合ぶりでした。しかし僕が選んだのはジョンソン RF-370CA-12560(12V/速度3700rpm)でした。
マブチRF-370CAは5個入りの販売のみだったので、1個で購入できるものを探した結果です。
新モーターの組み込み
モーターが届いたので組み込みます。

シャフトが長い以外の外観はほぼ同じです。

長いシャフトをリューターで切断しました。

回転方向を間違えない様に配線を移植しました。

排水ポンプにモーターをセットしました。グリスはシリコングリスを薄塗りです。
テストで動かすと異音はでないのですが、ちょっと回転が遅いような…。
交換→まさかの排水エラー
洗濯乾燥機が停止した
洗濯乾燥機に組み戻しこれでひと安心とおもったのですが、洗濯乾燥機が「ビーッ」と鳴りました。

いつもと違う「H」と

「A0」が表示されていました。
「パナソニック 洗濯乾燥機 HA0」で検索すると、よくあるご質問の回答がありました。
内容的には以前の記事にもある排水ポンプかとおもったのですが、今回は異音は発生せずに乾燥が停止したのです。
乾燥動作を確認
前面のフタをせずに観察しました。

乾燥を実行して10分くらいすると、排水ポンプが動いて排水ホース(赤線)の途中(青線:ヒートポンプユニットの上あたり)までは結露水が来るのに、そこから先へ押し上げ切れず戻ってしまいました。そして乾燥が停止しエラー表示されました。
ヒートポンプから伸びている排水ホースは、ドラムの下を通り一旦上の方に行った後、下がってきてメインの太い排水ホースに接続しているようです。
新旧モーターをバイク用リチウムイオンバッテリー(約13V)で回し比べたときの体感でも、新モーターの方が回転が弱い印象がありました。同じ電源での比較なので、供給電圧の問題ではなく、モーター自体の特性差(同じ「12V・370」でも巻線仕様によるトルク・回転の違い)が原因と考えられます。
対処方法は2つ考えました。
- 旧モーターに戻して動かす。
→動くけど、確実に異音がでる。 - 新モーターのままどうにかする。
→せっかく買ったのに無駄にするのはイヤ。なんにせよ排水できればいいんでしょ?
元に戻しても何の解決にもならないので、新モーターを使用して何とかでいないか考えました。
最終的な解決:排水ホースの取り回し変更
そもそも排水ポンプから出た水を捨てるだけなのに、なぜ起伏の激しいホースの取り回しをしているのか考えました。
- 排水口をひとつにしたい。設置が楽になる。
- 匂いや、洗濯水の戻りを抑止(トラップに)する。
僕としては、設置は既にしてあるので、排水箇所が増えても問題なし。目視できる位置に排水口がある。匂いは…したとしても我慢するとしてなど…ひと晩考えました。
そのうえで、モーターの押し上げる力が「ヒートポンプ上あたりまで」なら、排水経路の最高点をそれより下にすれば排水できるはずと考え、排水経路側を変更しました。
やったこと:
- 新モーター(RF-370CA-12560)はそのまま使用
- 排水ポンプから出るホースをドラム下あたりで切断(取り回しの自由度を確保するため、水位ギリギリではなく長めに余裕を取って切断)
- 観察していた水位(ヒートポンプ上あたり)より低い位置で取り回し
- ホースを排水口に直接接続

結果:洗濯〜乾燥まで正常に異音なく完了。結露水の排水も問題なくできました。また残ったホースからの水漏れ・逆流がないことも確認しました。
まとめ:確定したこと、していないこと
長い試行錯誤になったので、最後に「確定」と「未確定」を正直に仕分けして締めます。
確定した事実
- ヒートポンプ内部にはヘドロ(繊維くず+結露由来のぬめり)と約20ccの水が溜まる。これくらいの量でセンサーが反応し排出していると思われる。
- 排水ポンプのモーターはミツミR-14で、汎用370フレームと寸法互換(実測で確認)
- ジョンソンRF-370CA-12560は物理的に載る。ただし性能が足りず排水エラーになった
- 排水ホースを水の到達水位より低く取り回すことで、新モーターのまま洗濯〜乾燥まで実用可能になった
- グリスは厚塗りすると逆効果。塗るなら極薄。
推定にとどまること(断定できません)
- 異音の原因は旧モーターだったのか?単体テストは手でマグネットを押さえた方法だったため、異音はテスト方法由来で、旧モーターは正常だった可能性が残る
- 旧モーターの定格電圧(12V級と推定したが、6V級の可能性も排除できず)
この記録が、同じ症状に悩む誰かの遠回りを少しでも減らせたら嬉しいです。
以上、参考になれば幸いです。
記事のコメントやX(旧Twitter)のDMで、ひと言やアドバイスなどをいただけたら、とてもうれしいです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。


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