こんにちは、笑う背中です。
VTR1000SP1※の標準リアタイヤのサイズは190/50R17です。
しかし最近のスポーツ志向タイヤは55扁平がトレンドのようです。
僕のVTR1000SP1も、ブリヂストンのRS11の190/55R17を装着しています。
タイヤ交換の記事はこちら→VTR1000SP1のタイヤ交換
※VTR1000SP1は海外ではRC51、RVT1000Rとも呼ばれ、型式はSC45です。
扁平率を55にしたことでリアの車高が約10mm上がります。
サイドスタンドをかけた時の傾斜がきつくなっているのは、以前から気になっていました。
ホンダX4を増車したことで駐車スペースが狭くなり、サイドスタンドをかけると他のバイクや壁に当たってしまう事象が起こりました。5mmくらいの板をかませば問題なくなります。
そこで、VTR1000SP1のサイドスタンド延長を検討しました。
先に結論を書いておくと、接地プレートに6mmの鉄板を溶接して解決しました。
鉄工所で40分・2,000円、傾きは19.0度から17.5度に戻っています。
この記事ではサイドスタンドを延長するいくつかの方法と、僕が実際に行った延長方法を紹介します。何かひとつでも助けになればうれしいです。
お作法「強度を保ちつつ延長する」
なぜサイドスタンドの傾きがきつくなったのか
原因はシンプルで、タイヤの扁平率を変えたからです。
僕のVTR1000SP1は、ブリヂストンのRS11の190/55R17を装着しています。
(同カテゴリの最新タイヤはRS12です。)
標準の190/50から190/55へ変更した違いは、扁平率(サイドウォールの高さ)です。
- 190/50 → 190 × 0.50 = 95.0mm
- 190/55 → 190 × 0.55 = 104.5mm

つまりリアの車高が約9.5mm上がった計算になります。
フロントを支点に車体が起き上がる方向に動くので、サイドスタンドのマウント部では約4mm持ち上がります。
その結果、スタンドをかけたときの傾きが深くなった、というわけです。
数字にすると1度ちょっとの変化のはずです。
しかし駐車時は、サイドスタンドが地面に付くまでの時間が長く感じられ「スタンド出し忘れた?」と思うこともしばしば。また引き起こし時も「よっこらしょ」が必要でした。
サイドスタンド延長方法
延長する方法を4つ検討しました。
サイドスタンドエクステ
サイドスタンドのプレートを上下から挟んで、接地面積を増やす商品があります。
商品説明によるとサイドスタンドの高さも5mm上がるそうです。
しかしVTR1000SP1は、適合してないので諦めました。
穴を開けてボルト締めする
接地プレートに穴を開けて、鉄板をボルト締めしようかとも考えました。

しかし接地プレートをよく見ると平面ではなく、湾曲していることがわかりました。
ボルト部分は密着しますが、周囲は隙間が空きそうです。実質ボルト部分だけに荷重がかかりそうなので、やめました。
少し長いサイドスタンドを探す
ホンダの他車種のサイドスタンドで、4mmくらい長い物があれば交換流用が出来るのではないだろうか。
しかしサービスマニュアルにも、パーツリストにもサイドスタンドの寸法は記載されていないので、現物合わせするか、やった事がある人を探すしかなさそうです。
僕が検索した限りでは、先人は見つかりませんでした。
溶接してもらう
僕自身では作業できないですが、溶接してサイドスタンドを延長するのは見たことがありました。
現実的なのは溶接でしょうか。検討を進めます。
サイドスタンドを溶接して延長する
イメージとしては車高が上がった分、サイドスタンドを長くしてやれば元の傾きに戻せるかなと考えました。

5mmの板を挟んだ場合とサイドスタンドだけの場合を比較しました。
写真での見た目以上に、傾きが変化したと感じました。計算上の4mmとも近いので延長は5mmくらいで良いと判断しました。次に延長溶接方法はいくつか検討しました。
その1 厚い接地プレート(スリッパ)を溶接する

接地プレートを切り離して、厚みを増した新しいプレートを溶接する方法。
切断と溶接の工程が必要で、プレートの角度調整、整形も必要です。
その2 接地プレートに鉄板を追加して厚みを増す

接地プレートに鉄板を追加して厚みを増す方法。
周りの隙間は溶接するので、ボルト締めの隙間問題はありません。サイドスタンド自体はそのままで、接地プレートの下に鉄板を溶接、整形が必要です。
その3 棒(シャフト)部分を延長する

棒を切断し、同じ太さの棒を溶接する方法。
または、太い(細い)パイプに元の棒を差し込み、継ぎ足して溶接する方法です。ただし一度切り離してしまうので、継ぎ足し部分に精度・強度が要求されます。
僕の結論
僕が選択した方法は「接地プレート増し」です。
その理由は
- 切断しないので、サイドスタンドの強度が変わらない
- 作業依頼が「溶接」と「接地プレートと同じように整形」の2つだけで済む
- 重量が増えるのだけが心配だけど、削って軽くすることもできる
以前SL230のリアキャリアの溶接でお世話になった鉄工所に相談しにいきました。
(記事はこちら→SL230のリアキャリア修理)
鉄工所には5mmの鉄板はなく、近いのが4mmと6mmでした。付け足しはできないけど、削ることはできるので、6mmの鉄板を選びプレートの底に溶接してもらいました。
相談から溶接完了まで40分くらいで、料金は2,000円でした。

底面はまっ平になりました(笑)周囲の隙間は溶接によりふさがれました。
気になるサイドスタンドの重さを比較します。

溶接前のサイドスタンド重量361g

溶接後のサイドスタンド重量424g
溶接により63g増えました。
水抜き穴でまさかの大苦戦
ここからは今回の失敗談です。
溶接で6mm板を貼ったことで、元々プレート底にあった穴も塞がりました。水抜き穴と判断して、純正と同じφ3mmで開け直そうとしました。

- 慎重に低速で穴を開けていた
- φ2.5mmで下穴を開け、φ3mmに広げようとしたらドリルが折れて穴に詰まる
- 別の場所に開け直そうとしたら、φ4mmでまた折れる
- リューターのダイヤモンドビットで折れた刃を除去(ビット2本を消耗)
- 格闘の末、気づけばφ8mmの大穴になった

散々だったので、調べてみたらドリルの基礎を知りませんでした。
- 細径ドリル(φ4mm以下)は高回転・低圧が鉄則。低速だと折れやすい
- φ3mm程度なら下穴は不要。むしろφ2.5mm→φ3mmの小差拡大は刃が引っかかって折れやすい最悪パターンだった

結果的に開いたφ8mmの穴は、水抜き性能としてはむしろ余裕(笑)。強度への影響は少ないと判断しておきます。
塗装して車体に取り付け
延長したサイドスタンドには仕上げとして、油性ペンキ(防錆・防汚)を筆塗りしました。
十分乾かしてから取り付けます。

車体側の取り付けベースもきれいにしました。

サイドスタンドピボットボルトを取り付けます。
さらに裏側からサイドスタンドピボットロックナットを取り付けます。

サイドスタンドスイッチを取り付けます。
サイドスタンドスイッチのピンをサイドスタンドの穴に合わせて取り付け、サイドスタンドスイッチボルトで固定します。

取り付けが完了しました。

たたんでも問題なさそうです。
サイドスタンド延長の効果

サイドスタンド交換前後で、タンク上面で水平からの傾き角を計測しました。
- 変更前(延長なし):19.0度
- 変更後(6mm延長):17.5度
6mm延長で1.5度起き上がりました。事前の理論計算では5mmで1度くらいを想定していたので、結果的に良かったと思います。タイヤ変更で失った分をきっちり取り戻せました。
駐車時は、サイドスタンドが地面に付くまでの時間が短く感じられ、不安が少なくなりました。
また、引き起こし時は「よっ」で済むようになりました。
走行後のクリアランス確認
100kmほど走った後で、再度クリアランスの確認をしました。

少し大きくなったプレートですが、エキパイやサイドカウルには当たっていません。

この角度から見ても接触はありません。

シャフト部分は変更ないのでもちろん接触はありません。

この角度も大丈夫です。防振チューブが黄色くなってしまっているので変えたいなぁ。
サイドスタンド延長の注意点
ひとつ注意点があります。
試走では起こりませんでしたが、重量が63g増えたので、大きな段差でリターンスプリングが負けてサイドスタンドが降りる可能性があります。
降りるとサイドスタンドスイッチが反応してエンジンが止まります。段差の乗り越えは慎重に行ってください。
防振チューブを作成・交換
サイドスタンドの防振チューブが目に付きました。今まで一度も交換してないけど、弾性もまだあるし亀裂もなさそうですが、黄色くなってしまっています。
当初はホームセンターで同じくらいのサイズのチューブを購入しようと思っていたのですが、ゴムみたいな素材あるじゃんということで3Dプリンターで作ります。
防振チューブ設計
Autodesk Fusionで円筒をちょっといじったものを設計しました。
防振チューブ印刷
今回は防振チューブに感触が近い、TPEを使いました。TPUよりも柔らかいフィラメントです。
TPUと同じ設定で印刷すると、積層間は密着していますが、壁同士がほとんど密着しておらず4層のパイプのような状態になってしまいました。

ノズルの温度や、射出率を変更しても改善しませんでした。

プリント設定→レイヤーと外周→モード|アドバンスドの「境界線の生成」を「アラクネ」から「クラシック」に変更したのが効いたのか、4層のパイプからひとまとまりになりました。
防振チューブ交換

サイドスタンドスプリングを外しました。

作成したTPEの防振チューブに交換しました。
「HONDA」のロゴを入れましたよ。

VTR1000SP1に取り付けました。見た目は良くなったと思います。

サイドスタンド格納時はこのようになります。
耐久性は期待できないかもしれませんので、時々チェックしていこうと思います。
まとめ
タイヤのサイズ変更で、サイドスタンドの傾きが深くなりました。
接地プレートを追加溶接する方法が、強度・コスト・仕上がりのバランスが良く、僕的には最適解でした。
今回の要点を振り返ると
- 190/50→190/55で車高が約9.5mm上昇、サイドスタンド部で約4mm持ち上がる
- 接地プレートへの増設溶接なら純正強度を保てる
- 6mm延長で傾きが1.5度起き上がり、重量増は63g
- 実測(19.0度→17.5度)は理論計算とほぼ一致
- 細径ドリルは高回転・低圧、φ4mm以下は下穴不要
- 重量増により段差の乗り越え時は注意する
検討してから実測で裏を取り、ドリルを2本とリュータービット2本を壊しましたが、無事に元の傾きを取り戻せました。同じ悩みを持つ人の参考になれば幸いです。
防振チューブも僕的には満足度が高かったです。
以上、参考になれば幸いです。
記事のコメントやX(旧Twitter)のDMで、ひと言やアドバイスなどをいただけたら、とてもうれしいです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。



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